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    アジアに落ちる

    笑い、泣き、怒り、悲嘆し、放心する……の連続で、
    一行一行まったく飽きさせない筆力に唖然。
    無数にあるアジア旅行記の中でも、
    これほど「人間」の洞察が鋭いものにはなかなか出会えない。
    随所にはさまれるスケッチも心を突きまくる。
    (「SWICH」書評より)
     
    生の意味を、死の意味を、母の死を越え見つめていく、AKIRA渾身の一冊。

  • プロローグ ―― ワクワクするね
     日本
       東京 なんでこの国は死を隠すんだろ
       神戸 港町は性器に似ている
     中国
       上海 人類が四百万年もの間、お世話になってきた万能薬、阿片だ
       西安 人間愛を語る前に、中国のトイレを見ろ!
       西寧 最大の関門……高山病だ!
     チベット
       ラサ  朝、目が覚めたら生きていた
       ディグンティ 消化された君が、ひとつぶの……クソになって、降ってきた
       テドム 地獄のとなりにゃ、極楽があった
       サムイエ リトル・ブッダの顔には、ひからびた鼻水が凍りついている
       シガツェ 輪廻って、死んだらまた生まれ変われるの?
       サキャ 死こそ、この世で絶対唯一のギャグなんだ
       ティンリ 香高いバター茶とともに、順番でLSDを飲み下す
     ネパール
       カトマンドゥ シャンバラならもう見つかりましたよ 
       ポカラ 「私は病人だ……」1980 明
       ルンビニー 天上天下唯我独〝存〟
     インド
       クシナガル SEXと死というテクノロジー 
       サールナート 失われた母乳をまさぐるように舌をからませ、音をたてて吸った
       カジュラホ SEXは死の予習だし、死はSEXの復習だ
       アラハバード 貧しい国に変態はいないというのはウソだ!
       ブッダガヤ 魂にも食い物が必要だ
       カルカッタ あんたはインドの外っ面しか見てないな
     タイ
       バンコック 臓器を抜き取られた子供の死体がころがっているよ
     日本 
       神戸 気いつけや、次は東京やぞ!
       東京  もしかしてオレは、まだ夢の続きを見てんのかなあ?
     エピローグ
       あとがき ―― オレはきみを旅立たせるためにこの本を書いた

    アジア
    上海の阿片窟、チベットの鳥葬、LSDセッション、ブッダの4大聖地、ヴァラナシの火葬場、インド最大の聖者たちの祭、前世を覚えている少女、カースト制度と暴力、バンコックの殺人鬼と奇形博物館…。鮮やかな生と死が交錯するアジアから戻ったオレを迎えてくれたのは、バラバラに崩れた神戸の町だった―。アジアの「生と死」を見つめる魂の放浪記。

     
     
     オレは旅からすべてを学んだ。
     世界がオレの学校であり、
     出会いがオレの先生だった。

      人々の群れは「前へ進め」とオレの背中を押してくる。
     立ち止まって考えようとすると、「なにも考えずにさっさと歩け」とうしろから小突かれる。
     自分自身を振り返ろうとすると、「そんな価値がおまえにあるのか」とつめよってくる。
     この群れからはぐれたら、人間失格の烙印と孤独の地獄が待っていると脅かされてきた。

      いつか世界を見てみたいとあこがれながら、 
     はじめの一歩がなかなか踏み出せなかった。
     ひとりになるのが怖かった。
     自分自身を信じることができなかったんだ。

      そして、
     「いつか~したい」と言いつづけてることが、
     「永遠になにもできない」という意味だと知ったとき、
     オレの旅がはじまった。

      あとがき ――オレはきみを旅立たせるためにこの本を書いた より

     オレの血で書いた本を、
     きみの血で読んでくれ。
    なんとオレがもっとも敬愛する作家、宮内勝典さんがすばらしい文章を書いてくれた。
    オレはこの帯を見たとき、
    泣いた。
    ともに80年代嵐のニューヨークをすごし、オレの道しるべとなる宮内さんが命をけずるようにして書いた5行に背筋が震えたんだ。

     愛しいアジアに落ちていきながら、
     この漢(おとこ)は、ずばぬけて生きている。サイキックに輝いていく。
     生の実感が薄いという人たちに、ぜひ読んでほしい。
     この世界や地上が、
     生きるに値すると気づいてほしい。
     宮内勝典

     
    オレにとって尊敬できるシャーマンやアーティストは世界中にたくさんいるが、
    宮内さんは、人間として……オレの目標だ。
    ニーチェが「わたしはその人が血で描いた作品以外は信じない」という言葉を残しているが、
    宮内さんの作品、「ぼくは始祖鳥になりたい」、「金色の虎」、「焼身」など、一滴一滴を搾りとって書かれた作品ばかりである。

     もしきみの心が臨終に瀕したとき、
     白い紙にしたたり落ちたこの血文字を(ちもんじ)
     輸血してくれ。

     
    そのくらい、オレは宮内さんが大好きなんだ。 「アジアに落ちる」もオレが血で描いた作品だ。
    処女作「COTTON100%」は、イラン、イラク戦争の空爆のなかでいつ死ぬかわからないままに、書き殴った。情景描写はおろか、小説としてのルールをまったく無視している。
    「アジアに落ちる」はオレの第二作目だが、オレをはじめて作家にしてくれたデビュー作だと思っている。
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    1999年に新潮社からでた「アジアに落ちる」は、講談社の主催する「ベストエッセイスト賞」で最終選考3作に残った。ほかの2作家は壇ふみさんと、いとうせいこうさんだ。これで「うちから新作をお願いします」と「アヤワスカ!」を書いた。そんな感じでつぎつぎと本を書き、10年ちかく作家人生を送ってきた。 

  • 作家を目指したことは一度もない。
    いつもいつも「今これを書かなきゃ狂ってしまう」と、ギリギリの崖っぷちで作品をつくってきたんだ。「アジアに落ちる」は文章もページにはさまるデッサンも、原本どおりに再現されている。裏表紙には、この本で旅した土地が印刷されている。中国、チベット、ネパール、インド、タイを旅した者には懐かしい地名だろう。旅したことのない人には旅情を誘う魔法の呪文に聞こえるかもしれない。


    しつこく言うぞ。

    「アジアに落ちる」はオレの最高傑作だから、 まず読め!
     

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    アジアに落ちる

    めるまーくより 1,800円
    2007年9月発売

  • 「アジアに落ちる」 みなさまからのご感想

  • ライブに参加すると「COTTON100%」「ケチャップ」
    「アジアに落ちる」「神の肉テオナナカトル」をサインつきで購入できます。